内科・外科・小児科 安曇野市 穂高ハートクリニックのスタッフブログ
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ロウイルス、「人から人」感染目立つ
2011/11/4付 日本経済新聞
インフルエンザと並んで冬に流行する感染症がノロウイルス。感染力が強く、少量のウイルスが体内に入るだけで嘔吐(おうと)や下痢などを引き起こす。感染者が調理した物を食べたり、患者が吐いた物を処理したりして人から人に感染が広がるケースが多い。手洗いの徹底など他の感染症と共通する対策が予防のポイントだ。
「子どもが吐いた物を掃除した際にうつったようだ」。大阪市内に住むサラリーマン男性はこう振り返る。昨冬、幼稚園に通う娘が体調を崩し、自宅で食べた物を戻してしまった。男性はこれを片付けたが素手だった。この際にノロウイルスが手に付いて口から体内に入った可能性が高いという。数日後に激しい嘔吐と下痢の症状が表れ、発熱にも見舞われた。2日ほど自宅で安静し、ようやく症状が治まった。
ノロウイルスは感染性の胃腸炎を引き起こし、食中毒の原因にもなる。ウイルスが付着したカキなどの二枚貝を、生や十分に加熱しないまま食べると感染する。しかし、大阪市立環境科学研究所の入谷展弘研究副主幹は「近年は人から人にうつるケースが目立っている」と解説する。
入谷研究副主幹は大阪市内での感染事例を分析。原因を推定したところ、吐いた物などを介して人から人にうつったのが最多だった。カキが原因と考えられるのは年間数件。取扱業者の対策も進んでいるという。むしろ近年はカキ以外の食品のほうが目立つ。調理人が感染に気がつかないまま食材に触り、ウイルスが付着した料理を食べたためとみられる。
ウイルスが付いた物を触るなどしてうつることから、乳幼児や高齢者などが大人数で一緒に過ごす施設での集団感染が少なくない。大阪市保健所によると、ノロウイルスなどが原因で感染性胃腸炎が集団発生した施設数は2010年で74。内訳は保育所・幼稚園が40と最も多く、次いで社会福祉施設の17だった。感染予防の知識を持つ医師や看護師が勤める医療機関も8カ所あった。
健康な若者も発症
ノロウイルスに感染するのは、免疫力が弱い乳幼児や高齢者だけではない。「健康な若者でも条件がそろえば集団感染する」と警告するのは大阪大学の太田妙子教授だ。数年前、同大の部活動で合宿した約40人が相次ぎ感染し、発熱などの症状を呈したという。このウイルスは10~100個でも体内に入れば発症する。「インフルエンザと同様に、あらゆる年齢で感染の危険性がある」と太田教授は注意を促す。
患者が増え始めるのは例年11月ごろ。12~1月にかけてピークを迎え、その後は徐々に減っていく。夏は比較的少ない。この傾向は全国共通だ。通常は感染後1~2日で吐き気や嘔吐、発熱、腹痛、下痢などの症状が出る。これが1~3日続いた後に回復する。ウイルスが原因で命を落とすことはめったにないが、吐いた物がのどに詰まる窒息や脱水症状などには気をつけたい。
取っ手から拡大も
ノロウイルスは人間の体内で増える。感染者のふん便や吐いた物にはウイルスが多く含まれ、便とともに約1週間排出され続ける。このためトイレの取っ手やドアノブなどに付いたウイルスから他の家族に広がることも少なくない。
感染予防で重要なのがウイルスを体内に入れないこと。基本は手洗いの徹底だ。外出やトイレの後、調理や食事の前などに必ず手を洗う習慣を身につけたい。せっけんを付け、手のひらや甲、指や爪の間、手首などをこすり洗いする。水で十分に流し清潔なタオルでよくふく。さっと終えずに1分ほどしっかり手を洗おう。これでウイルス量は大幅に減るという。
建物や施設の玄関などに置かれている消毒用アルコールは「ノロウイルスを死滅させることはできない」(大阪市立環境科学研究所の入谷研究副主幹)ので要注意だ。このウイルスはセ氏85度で1分以上加熱するか、塩素系漂白剤で消毒すれば死滅する。
家族などが発症して便や吐いた物を処理する際は、使い捨てのゴム手袋とマスクを着け、ペーパータオルなどで取り除きビニール袋に入れて捨てる。汚れた床やドアノブなどは、家庭用塩素系漂白剤に浸したペーパータオルなどでふいておく。
ウイルスは乾燥すると空気中に漂って、これが口に入って感染することもあるので、乾燥前に処理するのが重要だ。調理器具やふきん、衣類なども同様に、熱湯で1分以上消毒するか塩素系漂白剤を使うと効果が期待できるという。
ノロウイルスにはインフルエンザのようなワクチンはない。感染を防ぎ、他人にうつさないためにもこまめな手洗いを心がけたい。
(新井重徳)
[日本経済新聞夕刊2011年11月4日付]
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