■高校生感染 国内で発生初確認
NHKニュース 新型インフルエンザ情報
厚生労働省によりますと、神戸市内の17歳の男子高校生が、国立感染症研究所の検査で新型インフルエンザに感染していることが確認されました。
水際の検疫ではなく、国内で新型インフルエンザの発生が確認されたのは初めてです。
この生徒には海外への渡航歴がなく、神戸市の検査でほかの2人の生徒からもウイルスが検出されていることから、新型インフルエンザの集団感染が起きている疑いも出ています。
新型インフルエンザへの感染が確認されたのは、神戸市内に住む17歳の高校3年の男子生徒です。
この生徒は今月11日に悪寒を訴え、翌日には37度4分の熱が出たため、医療機関で簡易検査を受けたところ、新型インフルエンザと同じA型と判定されました。
その後、15日、神戸市環境保健研究所で、生徒から採取した検体の遺伝子検査を行った結果、新型インフルエンザのウイルスが検出されました。
このため東京の国立感染症研究所で最終的な確認検査を行ったところ、遺伝子の配列が一致し、新型インフルエンザと確定しました。
水際の検疫ではなく、国内で新型インフルエンザの発生が確認されたのは初めてです。
これによって、政府の対策は行動計画に基づいて、これまでの第1段階「海外発生期」から第2段階「国内発生早期」に引き上げられます。
空港などの水際の対策から国内での感染拡大の防止や医療態勢の整備に重点が置かれることになります。
神戸市によりますと、この生徒は、16日午前3時すぎに市内の感染症の指定医療機関に入院して治療を受けてますが、熱は下がり、ほぼ回復してきているということです。
この生徒には海外への渡航歴がなく、新型インフルエンザのヒトからヒトへの感染が国内で起きている疑いも出ています。
この生徒が通っている高校では、2年生の男子生徒と女子生徒が簡易検査でA型のインフルエンザと判定され、いずれも神戸市環境保健研究所の検査で新型インフルエンザのウイルスが検出されました。
厚生労働省と神戸市は、ほかの生徒に発熱などの症状がないか確認するとともに、感染経路の解明を急ぐことにしています。
(5月16日 13時5分更新)
ニュース画像■政府 感染拡大防止の措置決定
政府は、海外への渡航歴のない高校生が新型インフルエンザウイルスに感染したことが確認されたことを受けて、河村官房長官らが出席して関係省庁の局長らによる会議を開き、児童・生徒が感染した場合、原則として市区町村の一部や全域で学校や保育施設の臨時休業を要請することなど、感染の拡大を防ぐための当面の措置を決めました。
会議の冒頭、河村官房長官は「国内で初の感染者が確認され、新たな局面を迎えた。慢性の病気がある人には重い症状になる例もあるので、新しい事態に対処して、感染拡大を防ぐ措置に万全を期さなければならない。冷静・迅速に情報を提供することが大切だ」と述べました。
会議では、事態が変わったことを受けて、政府として、感染の拡大を防ぐため万全を期すことを確認しました。
そして、当面の措置として、▽幅広く情報収集にあたるとともに、感染防止策や治療方法などについて国民に迅速かつ的確に情報を提供する、▽ウイルスに感染した疑いのある人に対し、インフルエンザの治療薬を予防的に投与するほか、感染した疑いのある人をほかの患者と接触させずに診察する「発熱外来」の整備を進めるなど、医療体制の整備を早急に進めるとしています。
さらに、▽患者が活動した地域での調査を徹底するとともに、外出の際に、人込みをなるべく避け、手洗いやうがい、込み合った場所でのマスクの着用を呼びかけるほか、▽事業者や学校に対し、時差通勤や時差通学など、従業員や児童・生徒の感染機会を減らすためのくふうを検討するよう要請するとしています。
また、▽児童・生徒が感染した場合、原則として、市区町村の一部や全域、場合によっては、都道府県全域で学校や保育施設の臨時休業を要請する一方、集会やスポーツ大会については一律の自粛要請は行わないものの、感染機会を減らすためのくふうをするよう要請するとしています。
このほか、水際対策としての検疫や入国審査にも引き続き取り組むとしています。
政府は、麻生総理大臣をはじめ、すべての閣僚が出席する「新型インフルエンザ対策本部」を18日開くことにしています。
会議のあと、総理大臣公邸で待機している麻生総理大臣は、伊藤内閣危機管理監から報告を受け、「感染の拡大防止をしっかりやってほしい。国民も心配していると思うので十分に安心できる対策をとってほしい」と指示しました。
(5月16日 16時45分更新)