2008/10/22 22:41

 アタマジラミが保育園、幼稚園、小学校などの12歳以下の児童で流行しています。

国立感染症研究所 感染症情報センター シラミ症
 アタマジラミは成虫の体長が3~4 mm程(雌で2~3 mm、雄で2 mm程度)で、全体は灰白色を呈し、血液が消化管内にある場合は、その部分が黒っぽく見える。口器は吸血しやすい構造になっており、幼虫から成虫までヒトから吸血する。3対の脚末端には発達した爪が各1本ある。ノミ類のように跳んだり跳ねたりしない。

産卵数は1日当たり約3~4個で、1カ月に100個ほど産卵する。卵は約1週間で孵化し、吸血を繰り返して3回脱皮後、約2週間で成虫になる。1~2匹のアタマジラミ幼虫や成虫に寄生された場合、産卵を繰り返して徐々に幼虫の数が増加し、それらが成虫になって交尾し、さらに産卵を繰り返す。このように、ある程度の数になるまでに1カ月ほどかかると予想される。

シラミ症の主要症状は皮膚の激しい掻痒感である。1~2匹の幼虫または成虫が寄生し始めた段階では、ほとんど掻痒感を伴わないが、3~4週間経過して個体数が増加する頃に激しい痒みに襲われる。これは、シラミが吸血時に注入する微量な唾液に対して産生されたIgE抗体が関係していると考えられている。かゆみは吸血された皮膚周囲に限局するが、関連症状としてイライラ感や不眠を生じ、精神的な負担を引き起こす。

あまりの痒さに皮膚を掻破し、その傷から細菌(ブドウ球菌など)の二次感染が生じると、発熱、疼痛などを訴えることもある。

シラミ症はかゆみを起こす他の皮膚疾患との鑑別が重要であり、まず、いつからどのような状況でかゆみが生じるようになったか、詳しく話を聞くことが重要である(鑑別疾患としては疥癬、接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、乾癬、蕁麻疹、薬疹など)。また、駆除したのにいつまでも取り付かれていると訴える寄生虫妄想症などにも注意する必要がある。
シラミ症は特定集団内での感染反復が起こりうるので、患者が発生した場合は接触者等の調査を行い、感染拡大を防止する。

[アタマジラミ症]
アタマジラミの感染経路としては直接的な頭部の接触が主な要因であるが、集団生活の場や家族内で寝具、タオル、帽子、ロッカー等を共用することによっても感染する。タオル、櫛やブラシ等の共用をさけ、罹患者の着衣、シーツ、枕カバー、帽子等は温水(55℃以上)で10分間ほど処理する。さらに、親が子供たちの頭髪を丁寧に調べること(グルーミング)でシラミの成虫や卵の早期発見が可能であり、確実な駆除が期待される。集団内でアタマジラミ罹患者が発見された場合、駆除対策を一斉に実施することが大切である。

アタマジラミの駆除のために、シラミ駆除専用パウダー剤及びシャンプー剤が市販され、広く使用されているが、諸外国ではアタマジラミ駆除用薬剤に対する抵抗性の発達が大きな問題となっている。処方通りに駆除剤を処理しても、なお生きたシラミが見つかる場合には、殺虫剤抵抗性の発達の可能性が考えられるので、細かな櫛などで物理的にシラミを駆除する方法に切り替えるべきである。

シラミ駆除医薬品/ダンヘルスケア(株) KINCHO
スミスリンシャンプー・スミスリンパウダー