今日は、金曜日です。
「いい」かげんのコーナーです。

●偽りの歴史の不安定さと重層化 1
 
しかし、このようにしてできあがった偽りの歴史は、
どうしても不安定になってしまいます。

細かいところを思い出していくと、
首尾一貫性が乱れてきて、矛盾点が目立ってしまうからです。

つまり、偽りの歴史は、その不安定さから、
絶えず変化する可能性を持っているわけです。



私たちの記憶は、とてもあいまいで、
思い出すたびに変わってしまったりします。

その主な原因は、この偽りの歴史の不安定さにあったと考えられます。

先ほど挙げた青年の例で考えてみましょう。
もし青年が、小学生の頃のほかの記憶を思い出したとしたら、
初恋に関する新しい偽りの歴史が創作される可能性があります。

たとえば、ある学年のときの担任の教師が、とても美人で優しく、
その教師に強く惹かれていたことを思い出したとしましょう。

すると、親戚の女子高生のところへ遊びに行かなくなった理由を、
実はこの教師の方が好きになったから、と考えるようになるかもしれません。

(つづく)


*参考文献
「サイストリー」 by 立花裕希 
http://iyashi.find21.net/psystory/


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