今日は、火曜日です。
「経営ノート」のコーナーです。
2006年11月22日に行われた、
渡邉美樹社長の講演会をまとめたものです。
みなさんのお役にたてれば、幸いです。
9.人生の分岐点
その後、経理会社や佐川急便、飲食業を経て、
(予定通り)24歳の4月1日に社長になりました。
そして、お客様のための店をつくりました。
自分だったら、何をしてもらいたいか考えて、
例えば、おしぼりを渡すときは片膝をつけて、入店時には温かいおしぼりを、
ちょっと体が火照ってきた1時間後には、冷たいおしぼりを渡しました。
また、お客様のお名前を聞いて、後日、お礼文を書くなどをしました。
ある人からは、「あなたのしていることは飲み屋でなく、ホストだ」と言われました。
しかし、そういう経営を続けていたら、
あっという間に売り上げが2~3倍、利益は10~15倍になりました。
特に好調だったのは大和にある2号店で、店舗は3階で、
営業時間は午後5時~翌午前5時でしたが、
午後4時から翌午前4時まで、常に1階までお客様が並んでいるような状態でした。
いまは620店になりましたが、このように繁盛したのは、後にも先にもこの店舗だけです。
そして、26歳のときには年収1億円になりました。
このときが人生の分岐点でした。
私はそのときまで“土”に建つ家に住んだことがなかったので、
最初は一軒家を買おうと考えていました。
しかし、何か後ろめたさがありました。
そこで、3日間休ませてもらって、ひとりで考え抜きました。
そして、導き出した答えは、『この1億円は俺のものじゃない』ということでした。
話しが逸れますが、「俺の金」という感覚はとても強いものです。
中小企業の経営者は、会社の利益は自分の金です。
会社を立ち上げるときは、自分に生命保険を掛け(私も掛けました)、
会社が失敗したときは死ぬ覚悟なのです。
だから、中小企業は強いのです。
当時、社員は15人いました。学生のころからの親友3人と、
1号店(高円寺北口店)でアルバイトしていた12人です。
彼らは有名大学に通っており、本来は一流企業に入るべき人たちです。
そうした15人の社員たちが私の夢にかけてくれたのです。
この1億円は、その人たちのものでもあると思いました。
人は自分が一番かわいいものです。
それまでの私は、コップ(自分の家等)を大きくして、
そのコップに水(自分の資産等)で、いっぱいにすることばかりを考えていました。
しかし、いまでは、コップの大きさはそれほど大きくなくて良い、
そして、コップを水でいっぱいにして、溢れさせ、その溢れた水を社員たちのために、
さらに溢れた水を関連会社に、そして、株主のために、
そして、カンボジアの子どもたちのために分けていきたいと思うようになりました。
人の幸せのために働き、人間性を高めていくことを、26歳のとき3日間で決意したのです。
(つづく)
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