今日は、木曜日です。
「つれづれに」のコーナーです。




2000年ということなので、いまから約10年前の作品ということになる。
時を同じくして、火星をテーマにした「ミッション・トゥ・マーズ」もあった。
当時は、並べて比較されたようであるが、この作品しか観ていないので、
比較のしようがない。

火星の描写がすばらしいとの評が多いが、まさにその通りで、
ロケ地の選びかた、映像の見せ方すべてが、
子どもの頃観た、1975年のバイキング1号の映像そのままなのだ。

その映像の見せ方は、CM界の鬼才と呼ばれた、
アントニー・ホフマン監督による映像美であることに間違いない。

また、当時「マトリックス」で飛ぶ鳥を落とす勢いのあった、
キャーリー・アン・モスが女性船長役を務め、
ヴァル・キルマーがエンジニア役で、ずっと脇役なのであるが、
最後には、主役となるのである。

また女性船長の名前は「ボーマン」、そしてロボットの反乱など、
「2001年宇宙の旅」に敬意を表し、またその映画と同じく、
エバーグリーンな映画にしたい想いもあったのであろう。

たしかに火星の表現も、宇宙船、宇宙飛行士のスーツ、
メカ類など、どれをとっても10年たっても色褪せていない。
しかし「2001年宇宙の旅」と違い、哲学的なもの、
精神世界的なものは、監督の狙い通りの仕上がりではないのが、
少々チープなSFサスペンス映画になってしまった理由であろう。

また、2057年に地球環境が壊滅的になり、
火星にその移住地を求めるくらいの技術と資金があれば、
その地球自体を守る手を打てなかったのかと、
ついつい余計なことを考えてしまう。

それがリーマンショックや自然の猛威として、
地球からわたしたちに発するメッセージなのかもしれないなどと、
2010年のわたしは考えるのであった。


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