映画批評♯3・「バベル」


今日は、木曜日です。
「つれづれに」のコーナーです。



「一番よかったのは、人を隔てる壁についての映画を撮り始めたのに、
人と人を結びつけるものについての映画に変わったことだ。
つまり、愛と痛みについての映画だ。」
とは、この作品の監督アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥの言葉。

その菊池凛子が第79回アカデミー賞で、助演女優賞にノミネートされ、
日本人女性としては、49年ぶりの快挙ということで、
2007年に日本中のマスコミの騒ぎになりました。
そしてブラッド・ピット、ケイト・ブランシェット、役所広司、
ガエル・ガルシア・ベルナルなどの名優が繰り広げる、3大陸、4つの物語。

夫婦の絆を取り戻そうと、モロッコを旅するブラピ、ケイト扮する二人に、
一発の銃弾が当たる。撃ったのはモロッコの子ども、そして銃の所有者は、
日本人の役所広司。

血を流すモロッコ、暴走するメキシコ、怒りのアメリカ、傷だらけの日本。
それぞれの地で、それぞれの人間ドラマが進行していく。

映画のタイトルになっている「バベル」は、もちろん聖書における「バベルの塔」。
バベルの塔の話しとは、人間が神に近づこうとし、天まで届く塔を建設し始めた。
それに怒った神は、言葉を乱し、世界をバラバラにしたという有名なくだりである

そう、言葉という人と人をつなぐ道具が、人と人を引き離す道具にもなる。
それが「バベル」の宿命。

菊池凛子が演じるチエコは聾唖であり、しゃべれないが故、この映画の中で、
一番、人とのコミュニケーションを図ろうとしている。
そして愛を求め彷徨う。

ブラピは、いままでの役柄と違い、異国の地で言葉のコミュニケーションが取れないまま、
なにもできないやつれた中年を演じる。

人は、なにもなく生きていける人が「死にたい」と思ったり、
「死にたくないという人」が、死に追いやられたり、
そういう不条理な面があるもの。
そして、死と直面してこそ「生」の実感がリアルなものとなる。

そういうことを感じさせ、考えされた映画でした。



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