近頃の若者はなぜダメなのか by 原田曜平


今日は、水曜日です。
「本」当におすすめの、コーナーです。




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「若者を批判する」か「大人や社会を批判する」という二項対立が、
まことしやかにマスコミでも取り上げられ、いまのこの閉塞的な社
会からして、かつて若者批判に軍配が上がった、というような構図
にはなっていないように感じます。

しかし、この二項対立をしている限りにおいては、世代間闘争の域
を出る事がないので、一歩踏み込んで、世代というより、いまの
「時代」を読み解くというのが、この本の趣旨です。


今の日本の20代後半以下の世代は、中高生あたりからケータイを
持ち始めた、日本で最初の世代です。日本の若者の特殊性は、まさ
にこのケータイ化という点に集約されます。

そこにはパソコンによる「情報収集」という側面より、ケータイに
よる「人間関係の維持・拡大」を重視して生活しているということ
が言えるのです。

もちろん狭い人間関係にこもる若者もいるのですが、基本的に、携
帯メール、SNS、プロフによって、かつての「親友」ではなく、
「友達の友達」や「友達の知り合い」という形で拡大しています。

そういう関係は、一見希薄に見えそうでいながら、継続性があると
いう部分を見過ごすことができません。

こういう環境において、24時間いつでもどこでも井戸端会議がで
き、かつて個人化・多様化ということから、かつての昔の村社会の
ような、空気を読むことが掟とされる「新村社会」になったという
ことなのです。

そして「新村社会」では、昔の村と違い、構成人員が膨大で、24
時間常時接続なので、一度村八分にあると、逃げ場もなく、完全に
村十分までになってしまうのです。

またこの「新村社会」のなかで、情報ネットワークの多さから、自
分では経験がないのに、身近な仲間の中の情報から、あたかも自分
が経験したかのような「既視感(デジャヴ)」を生み出しました。

しかしこの「新村社会」には、肯定的な面もあります。それはネッ
トワークの大きさ、自由さから、行動力さえあれば、「地域」「偏
差値」「世代」を超えてつながることができ、あたらしいマーケッ
トを生み出しています。

つまりこの「新村社会」においても、閉塞感にさいなまれる人と、
活動の幅を広げる人という「ネットワーク格差」を生み出してきて
いるのです。

ということを理解しました。タイトルのように、若者がダメという
のは比喩だということが、よくわかります。そして決してダメだと
は思ってないのです。


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