今日は、水曜日です。
「本」当におすすめの、コーナーです。




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東京大学の経済学部長を、２００９年まで勤めていた伊藤元重さん
の最新刊です。日経新聞などで、よくコメントが掲載されていて、
大変な教授にもかかわらず、案外わかりやすく話をしていたので、
気になっていました。

なかなか読み進めるのが大変だろうと思ったのですが、読んでみる
と、とてもわかりやすいのです。ご本人も、できるだけわかりやす
くと、ポイントを大枠で解説しているのです。

しかし読み終わってみると、世界金融危機、日本の貿易収支、中国
経済、米国経済、欧州通貨統合、為替問題、東南アジア、グローバ
ル経済と、あらゆるいまの世界経済のトレンドが、この一冊でわか
るようになっているという、さすがの手腕です。

１００年に１度の金融危機といったことが、約１年で終焉しそうに
見えるのは、実は、世界恐慌から学んだケインズ理論を生かし、い
ち早く世界が動いたことによることがわかります。

日本経済も、バブル後、もう２０年も経過するのですが、実は貿易
収支というより、海外債権による経常収支が、大きなプラスをもた
らしていたり、為替レートの錯覚から起こる、「貨幣錯覚」で、実
質プラスでも、表面上の額面で収入が減ったという、閉そく感につ
ながっていることなどがわかります。

そして、次の世代のことを考えると、結局地球環境問題がグローバ
ル経済の最重要課題であること。温暖化ガスをどう抑制し、経済の
発展とどう折り合いをつけるかということ。それが、行きつくとこ
ろなっています。

そして伊藤先生の提案として、炭素税を世界的に導入し、「環境技
術は儲かる」という認識で、環境と経済のバランスをとっていかな
いければ、どうしようもないという提言で閉まります。

わたしたちが子供のころ描いた、未来ＳＦの世界は、もう夢物語と
なってしまったのでしょうか。それとも、これこそが地球に生かし
てもらっている、人のあるべき姿なのかもしれませんね。


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