今日は、水曜日です。
「本」当におすすめのコーナーです。
著者の日高さんは、テレビ東京の『日高義樹のワシントン・リポー
ト』で有名な方で、日経新聞で大きな広告が出て、いつも見ようと
思いながら見過ごしていたのですが、この1月にやっと観ることが
できました。毎月1回ですので、一度見逃せば一ヶ月先なのです。
それを観て思ったのが、キッシンジャー博士との深い交流と、その
おかげで博士から深い話を聞きだせること。また番組中の要約のう
まさ。その2点には、とても感心しました。
その日高さんですが、現在、ハドソン研究所首席研究員として、ま
た、全米商工会議所の会長首席顧問を務めています。もちろんアメ
リカ在住なので、アメリカにはネイティブで詳しいのです。
そしてその日高さんが、なんと松本に講演会で来るというので、い
ままで、日高さんの著書を読んだことがなかったので、早速、最新
刊を読んでみました。
読んでみてわかったのが、「Yes,we can」のフレーズ、黒人初の大
統領ということで、手放しで喜んでいたわたしに、現実を直視させ
てくれた本でした。
もちろん「100年に1度の金融危機」をずっと追跡しているので、
なおさら参考になったのです。
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◆ぬるま湯の今のアメリカ
金融や経済が混乱していても、アメリカ大統領は、不安定でムード
に流されやすい国民大衆で選ばれている。その事実を直視する必要
がある。
クリントン政権の「デジタル革命」で世界的な競争を勝ち取り、「
減税」と「強いアメリカ」を享受した。そのアメリカの国民は、冷
戦なきあと、いまや安全を維持するために考えたり、努力する必要
がないと感じているという。
そして、アメリカ国内のドルの強さと購買力に安心しているのであ
る。そんななか、なんの根拠もなく2010年にはすべてがよくな
ると思っているのである。
◆誰がオバマを大統領にしたのか
実は、オバマ大統領を支持したのは、アメリカの保守勢力である。
冷戦がおわり、だれが大統領になってもいいムードで、国民の関心
が経済だけに集中した。オバマ自身が金融危機の危機意識を煽った、
そして政策というより巧みな宣伝であった。
金融危機は政治的には、単なる通貨システムの不備と位置づけられ
る。しかし、自然災害の猛威のあと、日常を支える金融システムの
崩壊という危機感があった。
国民の怒りと不安は、ブッシュ政権にNOをつきつけた。そして、
ブッシュ政権がイラクに勝ったことも忘れてしまった。それにもと
もと、アメリカには石油も食糧も、豊富にあるのだ。
そのため、アメリカの国民は、強い軍事力によって、ドルが支えら
れているという肝心なことを、忘れてしまっている。
◆オバマ大統領と米中問題
オバマ大統領自身が、クリントン政権の人材を積極投与するのは、
世界戦略を持っていないからだ。軍事的には、アジア極東戦略を見
捨て、中東戦略にシフトしている。
太平洋をアメリカと2分して支配しようとしている、中国に対する
基本的な戦略も持ち合わせていない。
金融危機の不信から、アメリカ経済を活性化する、中国の資金が入
ってこなくなっている。また、経済を回復させるためのグランドデ
ザインを、まったく明らかにしていない。
今後は、中国との貿易戦争は避けられないが、それに打ち勝つだけ
の経験も持ち合わせていないのだ。
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