今日は、火曜日です。
「経営ノート」のコーナーです。
2006年11月22日に行われた、渡邉美樹社長の講演会をまとめたものです。
みなさんのお役にたてれば、幸いです。
14.総論賛成各論反対
最近、教育について発言を求められることが多くなっています。
そのときに言っているのは、「総論」と「各論」の話しです。
いまの教育の問題は、子どもたちが先生を信じていないことです。
神奈川県の教育委員をしていることもあって、
神奈川で“子ども110番”を始めることを提案しました。
これには、みな賛成してくれました。
しかし、当初、神奈川県教育委員会がつくった案は、
相談時間が午前7時から午後5時までだったのです。
「なんで、24時間じゃないんだ。
子どもが相談したいのは午前7時から午後5時までじゃない!」
と思いました。
そこで、そのことを言って24時間にしてもらいましたが、
総論と各論とは、そういうことなのです。
また、農業をしている関係で、農家の人たちと会うことあります。
米農家には、減反という国の施策があります。
これは、農業をしないと、土地の広さに応じた利益分のお金を、
国からもらえるというものです。
農家の人に聞くと、「そんなことをしたら、日本の農業は弱体化する」と言っています。
しかし、そう言っている人も、お金はもらっているのです。
いまの日本は総論賛成各論反対ばかりです。
介護を始めたときも同じです。
介護士さんたちに、「親だと思って介護してください」と言いました。
600人の介護士さんたち全員から、賛同してもらえました。
そのために、食事は作り置きしたものでなく、
炊きたてのご飯を目の前で善そぐようにしました。
また、それまで、お風呂には、ベルトコンベアのように入れていましたが、
それを改め、一人ひとり入れるようにしました。
そういうサービスをしていたら、600人の介護士のうち、200人が辞めていきました。
辞めた人の言い分はだいたい同じものでした。
それは、「確かに、おじいさん、おばあさんたちは喜んだ。
しかし、私たちの幸せはどうなっているの?
仕事量は2倍になったけど、給料は2倍になってないじゃない」というものでした。
他人の幸せと自分の幸せを重ね合わすことができないから、
総論賛成各論反対になるのだと思います。
日本という豊かな国に生まれた人は、貧しい国の人たちを助ける責任があります。
また、若い人たちは、お年寄りを助ける責任があります。
これは総論でなく、各論、つまり一人ひとりの問題なのです。
だから、私はフリーターを認めていません。
日本の若者は社会に貢献するために、しっかりした仕事に就く責任があるからです。
仕事をして、他人を幸せにして、たくさんの笑顔に出会って、
そこに人としての幸福感があるのではないでしょうか。
*なおこの議事録は、富田さんのご協力で、掲載しております。
(つづく)
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