松本西南RC会長挨拶 「昨今お寺事情」
年度末を迎えて何かと慌ただしい日々が続いています。
春のお彼岸も終りましたが、皆さん、お墓参りは行かれたでしょうか。
地方の人口が減少している中で、お墓を守っていく人も居なくなってきているという話を良く聞くようになりました。
仕事柄、相続の手続きや成年後見の相談が多いのですが、手続きの中で、ここ5年くらいの間に、お墓を守れなくなったり、見る人がいないということで、お骨を菩提寺に永代供養で預けて、墓石を撤去するということを10件以上行いました。
昨年、日本創生会議が発表した資料によると「消滅可能性都市」が全国に896市町村あるとのことでしたが、その「消滅可能性都市」の中に宗教法人が62,971含まれているとのことで、現在176,670ある宗教法人のうち約35.6%がなくなる可能性があるとのことです。また、神社も41%消滅可能性都市に含まれているとのことでした。
日本の仏教寺院の数は平成26年の統計によると、77,329寺あるとのことですが、日本のコンビニの数が52,380店位なので、その数の多さに驚きました。また僧侶は377,898人いるそうです。
7万7千余りの寺院の中で、すでに住職がいない無住寺院が2万寺以上あり、実際に宗教活動を停止している「不活動寺院」も2千あるとのことです。
お寺が専業で食べていくには、少なくとも檀家数が200軒なければ難しいと言われており、住職がいても、檀家数の急激な減少により経済的に立ち行かなくなっているお寺もかなりの数を占めているそうです。
東日本大震災で被災した宗教施設も、「政教分離の原則」により行政からの助成金が得られず、復興されないままとなっているところが大半だと聞いています。
お寺の実情を詳細に取材して書かれた『寺院消滅』という本が昨年出版され、話題になりました。
作者の「鵜飼秀徳(うかい・ひでのり)氏は、浄土宗の僧侶ですが、現在は日経ビジネスの記者もしている人です。
作者がこのテーマで本を書こうとしたきっかけは、修行当時の旧友との再会からということで、その旧友とは、松本市大村の玄向寺の荻須真尚副住職であると書いてありました。
この本の中には、尼僧として活躍している松本市東昌寺の飯島恵道さんのことも詳しく書かれていました。
私の菩提寺は、保育園を経営していので、多少檀家が減っても何とか大丈夫かと思いますが、皆さんの菩提寺は如何でしょうか。
機会がありましたら、住職に檀家の数など聞いて、懐具合を確認してみてはいかがでしょうか。
今日は、昨今のお寺事情のお話をさせて頂き、会長挨拶とします。
松本西南RC会長挨拶 「松本市長選挙を顧みて」
本日は、松本南RCの花岡徹地区ローターアクト委員長にお越しいただいております。後程ご講演をよろしくお願いします。
さて、任期満了に伴う松本市長選挙が13日行われ、菅谷昭氏が4選を果たしました。
今回の選挙では、とりたてて政策の違いがあった訳ではなく、争点といえば、「継続か転換か」「多選批判」がキーワードだった気がします。
3月13日の夜には、選挙結果がどうなるのか楽しみにしていましたが、開票と同時にいきなり菅谷氏の当選確実が出てしまい、あっけない幕切れに、拍子抜けした感じでした。新人2人の陣営はさぞガッカリしたのではないかと思いました。
選挙結果を見て、一番残念だったのは、投票率の低さでした。地方政治で50%を切るという関心の低さは、誰が市長になったかということ以上に危機感を感じます。特に20歳代の投票率が25%台ということで、地域社会への関心の低さを憂う次第です。
菅谷市長は、4期目も「健康寿命延伸施策」を継続していくものと思われますが、「健康」をキーワードに、健康産業の振興を目指す「松本ヘルス・ラボ構築事業」を推し進め、経済の活性化を促進していくとのことです。
市長は「あせらず、気負わず、地道に」を基本姿勢として、「市民が主役、行政は黒子」としており、強いリーダーシップを発揮するタイプではないことは市民みんながご存知の通りです。
この姿勢は、今後4年間も変わらないと思いますが、そんな市長に対しては、市民がいかに市長に提言し、実行させていくかが、大事であり、待ちの姿勢の市長に対し、市民が待ちの姿勢でいたならば、今後4年間も何も新しいものは生まれてこないと思います。
私の経験ですが、今から5年前の平成23年に松本市を中心とした2市5村による認知症高齢者や知的障害者・精神障碍者の権利擁護事業を推進するために「成年後見支援センターかけはし」を立ち上げたのですが、当時、市の職員はなかなかやる気を起こさなかったため、関係団体が連携して、市長とティータイムトークで話したり、市長に政策提言書を提出したり、市会議員全員に文書を配布して、その必要性を訴えました。事例を踏まえた資料に市長はすべて眼を通してくれ、60万円しかついていなかった予算を一気に2000万円に増やし、松本だけではなく広域で行いたいという提言に対しても、職員に指示して広域連合で発足できるように他市村に働きかけてくれました。
今では、長野県で一番進んだ成年後見支援センターとして運営されています。
地域の活性化は、市役所が行うのではなく、地域住民が知恵を出し合って行うものだと思います。
行政が何かやってくれるのを待っているのではなく、政策提言をして汗をかく市民の熱意で、行政はいかようにも変えていくことが出来るのではないか、そんな気がしています。優秀な市の職員を如何に動かしていくか、市民と市長の連携がより重要に思えます。
以上、市長選挙の感想を述べて、会長挨拶とします。
松本西南RC会長挨拶 「最高裁判決」
昨日の最高気温が22,5度、今日の最高気温が5度と予想され、体調を崩しやすい日が続いていますので、風邪など引かないように気を付けたいものです。
3月6日にRLI卒業コースの研修が行われ、計4日間、17時間に及ぶ研修を終了しました。当クラブからは堀川副会長と中沢副幹事が参加され、無事卒業されました。お疲れ様でした。
さて、3月1日には、福祉関係者にとりまして、注目していた最高裁判所の判決が言い渡されました。平成19年当時、愛知県に住む91歳の認知症の男性患者が、徘徊中に電車にはねられ死亡した事件で、JR東海が、妻と長男に対して、総額720万円の損害賠償の請求をしていました。
当時、男性と同居していたのは、85歳になる要介護1の妻だけで、長男夫婦は横浜市に住んでいました。家族は、徘徊が激しくなったため、自宅のドアにセンサーを付けて、外出したら分かるようにしていたり、迷子にならないように服に名札を付けたりしていたのですが、ちょっとした隙に家を出て、電車にはねられたものでした。
一審は妻と長男に720万円の損害賠償を認めましたが、二審は長男は別居していたため妻にのみ360万円の損害賠償を認めていました。
最高裁の判決は、二審の判決を破棄し、今回のケースでは妻にも長男にも責任はないとして、家族は損害を支払わなくてもよいとしたのです。
民法では、未成年者や責任能力のない人が、第三者に損害を与えた場合は「監督義務者」が賠償責任を負うとしていますが、裁判では、認知症の人の家族がこの監督義務者に当たるかどうかが争いとなっていました。
最高裁は、家族がこの監督義務者に当たるかどうかは、①本人との関係、②同居の有無や日常的な接触、③財産管理へのかかわり方、などを総合的に考慮し、「責任を問うのが相当といえる客観的状況が認められるか」を基準として判断するという見解を示したのです。この基準からすると、同居の家族が健康で、財産管理に深くかかわっているにも拘らず、介護義務を十分に行わなかった場合は、賠償責任を問われる場合もでてくる、ということになります。
現在認知症高齢者は460万人いると言われ、団塊の世代が75歳以上になる2025年には700万人に達すると推計されています。
高齢者の増加に伴い、家族だけではなく地域で見守っていこうという体制つくりが進んでおり、兵庫県伊丹市では、市内1千か所に無線受信機付の防犯カメラを設置し、小型発信器を身に付けた高齢者が近くを通ると、その場所や時間などをスマートフォンの専用アプリで家族に伝わる仕組みを作ったそうですし、セブンイレブンは、長野県などと協定を結んで、深夜に一人で歩いているなど認知症の疑いがある人に従業員が気づいた場合は、自治体の窓口に通報するとしています。
家族の負担を減らすため、行政を含めた地域での取り組みがより重要になってくるものと思われます。
今日は3月1日に出された最高裁の判決を紹介して会長挨拶とします。
松本西南RC会長挨拶「地球温暖化について」
2016年2月6日、台湾の高尾を震源地とする震度6の地震が発生し、死者117名、負傷者551名の被害が発生しました。亡くなられた方々にはお悔やみを申し上げますとともに、負傷された方々にはお見舞いを申し上げる次第です。
東日本大震災の時には、姉妹クラブであります台湾鹿港ロータリークラブより311万円という多額の義捐金を頂戴しておりました。今回、連絡しましたところ、直接的な被害はなかったとのことですが、見舞金をお送りしたいと思っています。本日の理事会で決定いたしますが、皆様のご協力をよろしくお願いします。
2月13日は、中信第二グループのIMが開催され、多くの会員にご参加いただき、有難うございました。
講演会では、東京大学教授の山本良一教授が「経済、技術、生活のあり方を勇気をもって見直し、深刻な温暖化問題を解決しよう」という演題で地球の危機を熱く講演されました。
地球の温暖化はもう待ったなしの状況に来ていていると、多くの科学者が警鐘を鳴らしている中で、山本教授は、2007年より「温暖化地獄」という本を出版して、地球の温暖化について危機的状況であるということを訴えてきたそうです。講演では、すでに地球温暖化地獄の1丁目に入り込んでいると言われました。
地球温暖化地獄に陥っている最大の理由は、人間活動に伴う温室効果ガスの大気中への大量放出が一番の原因であるとのことです。
気温が2℃上昇すると、水不足になる人口が27億人、マラリアが2.3億人、洪水の被害が0.3億人、飢餓が0.1億人、合計29.7億人が危険な状況におかれ、2080年にはその人数が36.3億人になると予想する科学者もいるそうです。
空気中の二酸化炭素の濃度が400ppmに達すると、2℃突破の確率が50%を超えると言われている中で、現在、すでに400ppmを越えたところもあるとのことで、このまま地球温暖化が進めば、あと28年で2℃を越えてしまうといっていました。
2015年11月30日からパリで開催された国連気候変動枠ぐみ条約第21回会議(COP21)では、パリ協定が採択され、2020年以降の新たな枠組みを決め、「世界の平均気温を、産業革命以前からの気温上昇を2度未満に抑えることを目標とし、さらに1.5度未満にするように努力する」という内容の取り決めがされました。
2015年12月20日の日経新聞は、この内容では、不十分であり、実効性がかなり疑問であると報じており、読売新聞の2016年2月14日、21日の新聞によると、すでに北極圏にあるグリーンランドでは、かなりのスピードで氷河が解けており、自然環境の激変が間近に迫っていると伝えていました。
目先の利益や争いに明け暮れしている人間社会を見ていますと、そもそも地球が人間の住める環境になくなってしまったら、全ての人類が生きていけなくなってしまうのにと、山本教授の熱い講演を聞きながら、恐ろしさが増した次第です。新たな視点で世の中を見ていきたいと思います。
松本西南RC会長挨拶「松本市長選挙の話」
三寒四温で春に近づく季節となりましたが、暖冬と言われた割には歩みが遅いようです。もうしばらく我慢が必要かもしれません。
2月13日には、塩尻北RC主催のIMが実施されます。職業奉仕についてや、地球温暖化の問題について、参加者の皆さんと共に勉強してきたいと思っています。
さて、松本市長選も、3月6日の告示まで一か月を切り、3月13日の投票日に向けて、立候補予定者の動きが活発になってきています。
具体的な政策が発表されていないので、今の段階では議論の材料が見当たらないのですが、3期続いた菅谷市政の続投か、活力ある新人へのバトンタッチか、選択に迷うところであります。
現在、地方自治のキーワードは、「少子高齢化」と「人口減少」であります。
各地域・地方が、それぞれの特徴を生かした自律的で持続的な社会を形作り、魅力あふれる地方のあり方を築く「地方創生」の理念も、具体的に実行していくには、行政と民間がいかに協力して知恵を出し合い、活力ある地域つくりに取り組めるかがポイントになるものと思います。
信毎が行った世論調査によりますと、投票で最も重視することは、①公約内容、②行動力、③人柄、④実績と経験、となっていました。また、市政に優先してほしい課題は、①医療・福祉、②教育・子育て支援、③市街地の活性化、④道路や公共交通の整備、となっていました。
ふるさと納税による地方活性化の盛り上がりや、奇跡の村と呼ばれている下條村の取組を見ていますと、行政と民間の協力体制がいかに重要であるかが分かります。
トップが変わることにより劇的に良くなった市町村もあれば、活力を失った市町村もあります。将来の方向性をしっかり見据えて、税金を上手に使っていくトップを決める選挙に、関心を示さずにはいられません。
世論調査の中で、市長選に「関心がある」と答えた人は、60代以上で80%、30代と50代が70%を越え、40代が65.9%、とのことでしたが、20代では51%以上が「関心がない」と答えたそうです。
市役所の職員を如何にやる気にさせ、若者に如何に魅力ある政策を打ち出せるか。各候補者の指導性と政策をしっかり吟味して、一票の行先を決めていきたいと思います。
以上、会長挨拶を終わります。