松本西南RC会長挨拶「人口減少問題」
10月20日、まつもと市民芸術館で「健康寿命延伸都市松本」地方創生シンポジウムが開催され、750名ほどの市民が参加していました。基調講演では、元岩手県知事で総務大臣を務め、日本創生会議の座長として昨年8月に「地方消滅」という本を出版した増田寛也(ますだひろや)氏が「少子高齢化社会における地方都市の生き方」という内容の講演がありました。
増田氏は、「地方消滅」の書籍の中で、子供を産むことのできる20歳から39歳までの女性の人口減少率が50%を超える896の自治体が「消滅可能性都市」に当たる、とし、その中で人口が1万人未満の523の自治体は「消滅可能性が高い」としていました。長野県の市町村では、77市町村の内、31市町村で消滅可能性が高い523の中に入っているとのことです。
日本の人口は、2008年の1億2800万人をピークに年々減り始め、今年の10月1日現在1億2689万人と111万人減少しており、このまま進めば、2040年には、2010年と比較して、人口は25%減少の9600万人となり、子供の人口は33%減少、65歳以上は26%の増加。75歳以上の人口は2030年の39%増を境に減少になる、としています。人口の減少原因には大きく2つの理由があり、1つ目は、自然減と言われる子供の出生数の減少です。20歳から39歳までの女性の出生率(特殊出生率)の低下。この数値が2より多いと人口が増え、以下だと人口が減る。2005年が最低で1.26という数字でした。
長野県の平均が1.54.松本市は1.5とのことですが、全国1位の出生率の良いところは、実は長野県下伊那郡下條村とのことです。先月10月25日集英社新書から発売された「奇跡の村、地方は『人』で再生する」という本の中で、長野県下條村が紹介されていますが、下條村は、全国の自治体関係者から「奇跡の村」とよばれていて、少子高齢化対策に目覚ましい成果を上げているということです。
陸の孤島と揶揄される人口約4000人の下條村が、1998年~2002年の5年間平均出生率が長野県トップを記録。現在でも全国平均の1.43人を上回る1.88人と高い出生率を維持しています。特殊出生率では長野県内で一番消滅しにくい自治体となっています。ちなみに長野県では2番目が南箕輪町、3番目が山形村で、松本市は7番目に消滅しにくい自治体となっています。
人口減少の原因の2つ目は、社会減と言われるもので、若者の都会への流出です。講演の中で増田さんは、各自治体の人口移動状況を分析し松本市は、大学進学と大学卒業時の若者の転出が多いと指摘されました。若者を地元の大学に進学させ、地元の企業に就職させる活動をもっとしっかり行わなければならないと指摘し、自分が岩手県知事時代の失敗として、高校教育においては、当時東大や早稲田・慶応に進学する生徒数を東北各県で競っていたそうですが、今思うと、地元の大学に進学させ、地元の企業に就職させる政策を行うべきだったと反省の弁を述べていました。
パネリストとして登壇した、菅谷市長は、松本は医療機関が多く、そこで働く女性が多い、子育て支援も内科小児科の夜間診療を実施。保育園等への補助金支給や子供の医療費の無料化等で子育て支援をしている。また、産業においても健康医療産業を松本に誘致し、ヘルスバレー構想を実現していき、観光においても新幹線利用の周回コースの計画や、鹿児島、松本、札幌を結ぶ観光を提案していきたい等を述べられました。少子高齢化」と「地方再生」が、今の時代のキーワードになっています。
地方銀行の再編や空き家対策等、今までにない世の中の動きを敏感にとらえ、時代を読んでいくことが必要な時代になってきていると、感じています。今日は人口減少のお話をさせて頂き、会長挨拶とします。