松本西南RC会長挨拶「耕作放棄地への対応」
さて、先週は空き家対策のお話をさせて頂き、その中で「特定空き家」に認定されると、固定資産税の減額が無くなり、上がってしまうというお話をさせて頂きましたが、本日も、また、固定資産税が上がるという話です。
農林水産省は、平成28年度の税制改正の要望に、農地として税制上優遇されている耕作放棄地に対する固定資産税を、現行の2倍に引き上げる方針を固めたとのことです。農業に意欲のある担い手に貸し出せば非課税にするという現行の優遇策と組み合わせて、耕作放棄地の集積を目指していく方針を打ち出しました。
全国の耕作放棄地は約40万ヘクタールに上り、全農地面積の1割に及んでいます。これは農家の高齢化と後継ぎ不足が原因とのことですが、年々増加している状況です。
政府は、農業の競争力を強化し、農地を集積して企業や法人に貸し出す「農地中間管理機構」、いわゆる農地バンク制度を導入していますが、借受を希望する農地は23万ヘクタールあるのに対して、貸し出された農地は7千ヘクタールにとどまり、貸し手が増えない状況にありました。
これを打開するために、固定資産税の優遇措置を見直し、耕作放棄地を貸し出した場合は、固定資産税をただにするが、そのまま放置した場合は2倍にするとした訳です。
現在、中山間地には、荒廃した耕作放棄地が約14万ヘクタールあるといわれ、貸したくても借り手がおらず、固定資産税だけ上がるという結果になるのではないかと心配されています。
京都府では、農山村地域にある空き家を活用し、移住をはじめ、都市部との二地域での居住を促進する条例を制定して、移住者らの農地を含めた土地取得に対し、府税減免やローン金利の一部肩代わりなどの経済的な負担軽減策を打ち出し、空き家と耕作放棄地との一体的な利活用を目指す政策を実施しているとのことです。
中山間地が多い長野県においても、県や市町村が大胆な政策を実施して、農業移住者を迎え入れる等しなければ、空き家対策や耕作放棄地への根本的な解決策は見いだせない気がいたします。行政の対応に期待したいところです。
今日は、新たな固定資産税の負担増の話をさせて頂き、会長挨拶といたします。
有難うございました。
松本西南RCクラブ会長挨拶「空き家対策について」
10月5日に、長野県土地家屋調査士会の空き家問題に関する研修会があり参加してきました。行政関係者も多数参加されていました。
この頃、松本市内でも多くの空き家を見るようになりましたが、平成25年度の統計ですと、全国に約820万戸の空き家があり、この空き家対策のために、全国401の自治体で空き家条例が制定されているとのことです。
長野県の空き家率は、19.8%で、全国2番目に多いとのことでした。これは別荘も含まれているとのことで、空き家率が高くなっているとのことでしたが、松本市の空き家率も、賃貸借物件も含めますと17%ということで、全国平均を上回っていました。
空き家の主な原因は、「供給過剰」と「世帯数の減少」だと言われています。
実務の中でも、この頃の売買事例の中には、少子化で子供が県外に出ていて、県外の子供の家に行くので自宅を売却するという事例もいくつか取り扱いました。
また、相続手続きの依頼を受ける中で、両親が死亡して実家が空き家になったので、引き続き売却の手続きもお願いしたいという事例も今年に入って何件もありました。
また、成年後見の手続きの中でも、一人暮らしの高齢者が施設に入所することにより空き家になるケースも多く、一人暮らしの高齢者が増えている中で、今後ますます空き家は増えていくものと思われます。
そんな中で、「空き家等対策の推進に関する特別措置法」が議員立法で制定され、今年の5月27日から完全施行されました。
この法律によりますと、空き家対策は市区町村が実施主体として行うと定められています。
今後、行政が中心となって空き家対策をしていくことになりますが、行政が「特定空き家」と判断した場合は、「助言・指導」した後、相当の猶予期限を設けて「勧告」し、従わない場合は、固定資産税の住宅用地特例を解除して固定資産税を高く徴収するとか、最終的には行政代執行で撤去して所有者に費用請求するなどの措置が出来ることになっています。
松本市も、空き家条例を制定してありますが、今後どのように進んでいくのか、不動産を扱う業種として見守っていきたいと思っています。
今日は、空き家対策についてのお話をして会長挨拶といたします。
有難うございました。