平成27年7月22日 第4回例会挨拶
7月19日関東甲信地方が梅雨明けした。昨年より2日早い、平年より2日早い、梅雨明けとなった。気象庁によると、7月下旬の気温は全国的に高く、8月の気温はほぼ平年並みとのことです。このところ毎日、酷暑が続いています。水分補給を十分に行い、暑い夏を乗り切りたいものです。
さて、この頃世論を二部して白熱した議論が繰り広げられている問題として、安全保障関連法案があります。これは日本の「平和」というものを改めて考えさせられる機会となっています。
安全保障関連法案は7月16日衆議院本会議で、自民、公明両党などの賛成多数で可決され、参議院に送られ、参議院で再度議論することとなっていますが、衆議院が参議院に優越している現在の憲法のもとでは9月14日以後可決成立する可能性が非常に高くなっています。安保法案は自衛隊法や武力攻撃事態法などの改正10法案を束ねた「平和安全法制整備法案」と、他国軍の後方支援を随時可能にする新法の「国際平和支援法」の2本立てとなっています。
日本の平和と安全に影響を与える事態に切れ目なく対応するとともに日米同盟を強化する狙いがある、といわれています。
ここで一番の問題点となっているのが「集団的自衛権」の問題です。
集団的自衛権とは、自国が武力攻撃を受けていなくても、同盟国など密接な関係のある他国が攻撃されたとき、自国が攻撃されたとみなして共に反撃する権利です。国連憲章は、集団的自衛権について、自国が攻撃を受けた時に反撃する個別的自衛権と共に、主権国家が持つ固有の権利として行使を認めているのですが、日本において、歴代政権は「憲法9条が許容する必要最小限度を超える」として、権利はあるが行使は認めない立場でした。
しかし、安倍政権は2014年7月、政府の憲法解釈を変更し、行使容認を閣議決定して、今回の法案提出となったわけです。
「アベ政治を許さない」このポスターは全国で一斉抗議に使用されたポスターです。安全保障関連法案に反対して作家の澤地久枝(84歳)らが呼びかけ、7月18日午後1時にこのポスターを一斉に掲げて全国各地で一斉抗議行動が行われました。全国1000か所で実施され、東京のメイン会場は5000人集まったとのことです。このポスターは、熊谷市在住の俳人で日本芸術院会員の金子兜太(95歳)書いたもので、澤地さんから6月上旬に依頼されたそうです。
金子兜太さんは、平成27年6月21日ホテルブエナビスタでの信州岩波講座において「国民文芸 俳句の「力」」という演題で黒田杏子と対談されました。
その時に、このポスターを講演の前に澤地さんへ送ったと言っていました。
「自衛隊の恒久的な海外派兵を可能にする安保法案について『いずれ徴兵制につながる』と憂慮しており、そんな事態は何としても阻止しなければならないとの思いを込めて書いたといっていました。
金子兜太のプロフィールは、1919年生まれの95歳。東京大学経済学部卒業後、日本銀行へ。1943年海軍主計中尉として南太平洋トラック島に赴任しました。激戦地で多くの戦友を亡くしています。米軍の捕虜となった後、1947年日銀に復職し、「非業の死者に報いる」という思いから組合活動に従事し、生涯出世とは無縁な生活を送りました。
現在、「平和の俳句」の運動を実施していて、一般の人からの俳句の応募は3万通を超えているそうです。
平成27年1月1日よりスタート。毎日一句ずつ東京新聞と中日新聞に掲載されています。
「平和の俳句」は教育現場でも注目されていて、「平和について考える機会になれば」と学校の部活や授業で俳句作りに取り組み、作品を応募するなど広がりを見せているそうです。
「平和とは一杯の飯初日の出」(18歳男性)
「言葉こそ戦争終わらす武器である」(15歳女性)
「あたたかき孫の手九条あればこそ」(62歳女性)
「平和とは噛みしめて御飯食べること」(76歳女性)
金子兜太さんは、戦争を知らない安倍総理に対して、「米国に『夏までに成立する』と約束し、法案成立へとひた走る日本の首相の言動を見ると、『気の毒にも思える』と言い、『でっち小僧が旦那になだめられたり引っぱたかれたり、時々菓子をもらったりして、いいようにされている姿を想像してしまう』と言っていました。
戦争体験者がだんだんと少なくなり、身近に他国の脅威を感じることのない日本において、今後この国がどの方向に進もうとしているのか、参議院の議論を注目しながら、今一度「平和」について一人一人が考えてみる必要があるのではないかと感じておりします。
以上で、本日の会長挨拶とします。