塚越寛著「いい会社をつくりましょう」
塚越寛著「いい会社をつくりましょう」文屋
著者は、1958年の会社設立以来、連続増収増益を続けている伊那食品工業の代表取締役会長です。
相場商品だった寒天の安定供給体制を確立し、医療・バイオ・介護食など新たな市場を開拓し、財務内容や理念・実績等が高く評価されている会社です。
●会社の社是
『いい会社をつくりましょう~たくましく そして やさしく~』
●「いい会社」とは、
『単に経営上の数字が良いというだけでなく、会社をとりまくすべての人々が、日常会話の中で「いい会社だね」と言って下さるような会社のことです。「いい会社」は自分たちを含め、すべての人々をハッピーにします。そこに、「いい会社」をつくる真の意味があるのです。』
●企業目的
『企業は本来、会社を構成する人々の幸せの増大のためにあるべきです。
私たちは、社員が精神的にも物質的にも、より一層の幸せを感じるような会社をつくると同時に、永続することにより環境整備・雇用・納税・メセナなど、様々な分野でも社会に貢献したいと思います。
したがって、売上や利益の大きさよりも、会社が常に輝きながら永続することにつとめます。』
●社是を実現するための会社としての心がけ
・遠くをはかり、進歩軸に沿う研究開発に基づく種蒔きを常に行います。
・永続するために、適正な成長は不可欠です。急成長をいましめ、環境と人との調和をはかりながら、末広がりの堅実な成長をめざします。
・収益性、財務、営業力、開発力、取引先、知名度、メセナ等について企業規模との好ましいバランスを常に考えて行動します。
●社是を実現するための社員としての心がけ
・ファミリーとしての意識をもち、公私にわたって常に助けあおう。
・創意、熱意、誠意の三意をもって、いい製品といいサービスを提供しよう
・すべてに人間性に富んだ気配りをしよう
・公徳心をもち社会にとって常に有益な人間であるように努めよう
二宮尊徳「遠きをはかる者」「遺訓」
伊那食品工業の塚越寛代表取締役会長が座右の銘としているのが、江戸末期の篤農家「二宮尊徳」先生の目先の利益を追わず、常に長期的な視野に立って種蒔きをするという下記の言葉です。そして、人間は一生学ばなければならないと教えている遺訓です。
伊那食品工業は、1985年の創業以来、毎年増収増益を続けている会社です。
・二宮尊徳の言葉
遠きをはかるものは富み
近きをはかるものは貧す
それ遠きをはかる者は百年のために
杉苗を植う
まして春まきて秋実る物においてをや
故に富有り
近くをはかる者は
春植えて秋実る物をも尚遠しとして植えず
唯眼前の利に迷うてまかずして取り
植えずして刈り取る事のみ眼につく
故に貧窮す
・二宮尊徳の遺訓
人、生まれて学ばざれば、生まれざると同じ
学んで道を知らざれば、学ばざると同じ
知って行うこと能はざれば、知らざると同じ
故に、人たるもの、必ず学ばざるべからず
学をなすもの、必ず道を知らざるべからず
道を知るもの、必ず行はざるべからず