2009/03/12 8:41

こころと脳の対話 5

今日は、木曜日です。
「つれづれに」のコーナーです。




 ●相手の「魂」だけを見つめる

「離人症性障害」という、大変なノイローゼの患者さんがいたそう
です。それは現実感覚がなく、自殺する人も多いそうです。あちこ
ちのセラピストに行っても、どうしてもうまくいかないので、何人
かのあとで、河合先生のところにきたそうです。

治るまで5年かかったそうです。お礼を言われたときの言葉が、と
てもおもしろかったと。初めて会ったとき、この先生で治ると思っ
たと言ったそうです。なぜなら、人間に「魂」というものがあるな
ら、そこだけ見ていたということです。。

河合先生は、その人を本当に動かしている、根本の「魂」と勝負し
ています。だから、そっと聞いていないとだめだそうです。言葉で
動いていったりしないで、相手の言葉に動かされてはいけないそう
です。


 ●全体に、平等に注意力を向ける

「気に懸かる」は、脳科学だとアテンション(注意)といいます。
アテンションは、方向をもっています。しかし気に懸かるは、自分
の意識と関係なく、違うほうから出てきます。だから、気に懸かる
ものは、大事にしたほうがいいのです。

フロイトは、クライアントの話を聞いているときは「平等に漂える
注意力をもって」といっています。これは逆説なのです。なぜなら
アテンションは方向性を持っているのに、持たせないということだ
からです。


 ●脳科学の「科学的真実」への疑問

フロイトは、その相手の人とのことなので、誰にでも適用できない
といいます。しかし、主観的体験は、それなりの普遍性があり、「
それなり」が大事なのです。それを自然科学の法則と同じにすると、
つぶされてしまうのです。

脳科学がこれだけ進んで使えても、それで心がわかるのは間違いと
いうのがわかります。それから心の場合は、その人の主観が大事で
す。みんな一人ひとり違います。そこを大事にしてほしいのです。


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