こころと脳の対話 4
今日は、木曜日です。
「つれづれに」のコーナーです。
●相手の苦しみを正面から受け止める
苦しみを正面から受け止めるようにしているのが、河合先生の仕事
です。逃げないで、まっすぐ受ける。向き合わせない。一生懸命聞
いていることです。完璧にまっすぐ聞く。
まっすぐ感心して聞いてると、その人の視線がまっすぐになるそう
です。ほとんど話を聞いているだけのことが多いようです。
うまいこといっているときは、聞いているだけで、その人が自分で
考えて、自分でよくなっていきます。しかし、自分で考えると、堂
々めぐりします。ところが、生きてる人間が正面から聞くと、堂々
めぐりが止まります。
●「中心をはずさすに」
「薬物による症状でない」「急性である」という条件に当てはまる
患者を治す、ジョン・ペリーというアメリカの学者がいました。黒
船で有名なペリーの弟のお孫さんです。
「どうやって治していくんですか」と訊いたら、いつもずっと端に
いると。しかし「中心をはずさずに」そこにいる。それができれば
治ると。自分の中心をはずさないという、もうそれだけです。
飛びかかってくるような人も来るから、必ずもう1、2人といて、
ペリーさんは、中心をはずさずに、ただそこに座っているだけです。
あれほどのエネルギーがいる仕事は、これまでだと、ペリーさんが
60歳で辞めました。ただ座っているだけなのに、ものすごいエネ
ルギーを使います。
なぜなら、叫んだり、壁に頭を打ちつけたりしてる間、ジーッと座
っています。しかも中心をはずさずにです。よっぽどの達人です。
「中心をはずさすに」とは、動揺しないとか、自我が確固としたも
のとしてある、というのとは違います。バッターボックスに立って
いる、野球の選手に似てる感じだそうです。
宮本武蔵が「五輪書」で書いてる、相手のどこかに注意を置いては
いけないということに、非常に近い感じでもあるそうです。
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